「すぐる学習会」の誕生

 1977年(昭和52年)6月ごろ,大学 2 年の私はヒマなので何かアルバイトをしようと思いました。

 大学の学生課に行って募集の張り紙を眺めていたところ,…

 採点などの事務作業を募集する「日本進学教室(注1)」の張り紙に「時給1200円」という,恐ろしく高い時給が書いてあるのを発見しました(注2)。
 しかも「そろばん技能者優遇」なんて注意書きがあり,小学生のころそろばんを習っていたのでこりゃ有利だなと思い(注3),「日本進学教室」,略して「日進(にっしん)」に電話しました(注4)。

 4週間ほどの試用期間を経て無事?(注5)採用された私でした。
 日進で働いている方々は基本的に学生さんだと聞いていたのですが,そのとき何十人もいた方々の中で,どう見ても学生ではない,失礼ながらどちらかというとおじさんに片足を突っ込んでいるような大御所が数人いらっしゃいました。

 その中のお1人が,ごめんなさい永瀬さんでした。

 北海道出身という共通点もあり(注6),話かけてくださいました。

 一緒に徹マン(注7)をしたこともあります。

 また,永瀬さんが国語と社会,私が算数と理科を担当して,家庭教師を数件やったりしてお世話になりました。

 1980年には永瀬さんも私も日進の社員となりますが,日進の低落傾向はますます顕著で,このままでは路頭に迷うという恐れもあり,会社に内緒で2人で脱サラを計画しました(注8)。

 そして1981年の12月の冬期講習から,「すぐる学習会」は開塾の運びとなりました。

 場所は「第一いさみやビル」という,東西線の入り口にもなっているビルの3Fでした。今でこそイカしたビルになっていますが,当時はかなり年季の入ったビルで,階段も急で,暗いしちょっと怖いビルでした。

 結局震災のぴったり1年後の2012年3月11までそこでお世話になり,そのあとホンダビルに引っ越しました。

 ところで,「すぐる学習会」の「すぐる」という名前の由来は何でしょう?

 とうとうそれをバラすときがきました。

 1980年代はまだプロ野球の全盛期というか,読売巨人の全盛期で,テレビの午後7時から午後9時のゴールデンタイムはいつも読売巨人vsどっかのチーム,という中継がありました。
 私もよくプロ野球中継を見ていて,特に読売巨人のピッチャー,江川卓(えがわすぐる)さんのファンでした。

 ばれました(笑)?そういうことです。

 永瀬先生から「学習塾の名前を,何とか学習会という名前にしたいが,何かいい名前がない?」と言われて,私は江川卓(すぐる)さんの名前を拝借して「すぐる学習会にしましょう」と答えたのです。

 「卓(すぐる)学習会」では卓球の練習をする塾かなという誤解(笑)があるかも知れないので,優秀な生徒を育てたいという意味で「優(すぐる)学習会」という名前にしたのです。

   とうとう言っちゃった。

 「すぐる学習会」は,生徒の人数が一時的に少なくなった時期もありましたが,概ね順調に40年間を過ごしてきた気がします(注9)。

 これからもいろいろピンチはあるかも知れませんが,あと21年は「すぐる」を続ける覚悟です。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2022年5月1日
すぐる学習会・岸本彰久


注1
 今は亡き日本最古の進学教室です。長谷川弥平さんが創立しました。
 私が入った頃の日本進学教室は「長期低落傾向」にあると上司のイケメンの方がおっしゃっていました。
 それでも,麻布に確か208人合格しているような,すごい進学教室でした。

注2
 当時の一般的なアルバイトの時給は450円ぐらいだったと思います。家庭教師ならともかく,通常のアルバイトで1200円の時給はありえないほど高く,大変魅力を感じました(笑)。

注3
 そろばん技能者はさらに時給が100円アップでした。

注4
 電話口に出たのは,今,土曜日の週テストを担当している堀川先生でした。あの頃と今とくらべても,堀川先生の声の質は変わりませんねー。

注5
 あまり仕事をしなかったので,「これじゃあ推薦できない」と上司の方に言われました(笑)。しかし採用か不採用かを決める会合で,どういうわけか採用になりました。

注6
 高校は,永瀬さんは岩見沢東,私は旭川東です。

注7
 永瀬さんの知り合いの夫妻と4人で徹マンをしました。
 永瀬さんが国士無双を上がって,1人勝ちしたことを覚えています。

注8
 すぐバレました。

注9
 27年ほど前に,結構生徒が少なくなるというピンチを迎えました。〇〇〇という学習塾の先生が「すぐる学習会はもうすぐつぶれるぞ」と言っているという噂を聞いたときは,意地でも続けるぞという発奮材料になりました。ありがとうございます。それから四半世紀以上続きました(笑)。


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