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Maximaのまとめ

Maxima(マキシマ)は,数式処理をするフリーソフトウェアです。

・単なる計算を近似値ではなく正確に計算したり,
・式を展開したり,
・式を因数分解したり,
・方程式を解いたり,
・微分積分をしたり,
・微分方程式を解いたり,
・式をグラフにしたり,
・プログラムしたりすることができます。

目次

1.インストール方法
2.基本操作
3.計算
4.定数
5.はじめから定義されている演算関数
6.変数
7.関数を定義する
8.平面グラフ
9.三次元グラフ
10.式の展開・因数分解
11.方程式
12.極限と微分
13.級数と積分

1.インストール方法

Windows の場合,
1.http://sourceforge.net/projects/maxima/files/Maxima-Windows/にアクセスして,
2.ページの中程よりもちょっと上のあたり, "Looking for the latest version?" のすぐ右のリンクをクリックし,Windows 用インストーラをダウンロードし,
3.ダウンロードしたファイルを起動させる。
4."I accept the agreement" を選ぶ以外は,単純に Next をクリックし続けるだけでインストールできます。

2.基本操作

 起動すると,次のような画面が現れます。

 いちいちヒントが出てくるのがわずらわしい場合は,「起動時にヒントを表示する」のチェックをはずし,ヒントを消します。
 あとは式や計算を入力するだけですが,注意することが2つ。
 まず,

1.式や計算を入力したあと,最後にセミコロン ; を入力すること。
2.セミコロンを入力したあと,Enter キーではなく,Ctrl キーを押したまま,Enter キーを押すこと。

3.計算

 たとえば 3+4 のような足し算なら,

 のように入力し,Ctrl キーを押したまま,Enter キーを押します。
 すると,

 のように結果が出ます。
 同様に,ひき算なら −,かけ算なら *,わり算なら / (いずれも半角)の記号を使います。
 ただ,わり切れないようなわり算の場合は,電卓と違って,分数で結果が出てきます。

 もし,およその数が知りたいなら,float( ) という関数を使用します。

 累乗計算もできます。演算記号は ^ (半角)です。

 階乗計算の演算記号は,当然, ! (半角)です。

 計算結果を指数表現で求めたければ,まず有効ケタ数を,

 fpprec:ケタ数;

 というように指定した後,float( )ではなく bfloat( ) という関数を使用します。

 1.4286b3 というのは,1.4286×103 という意味です。

4.定数

 %pi は,円周率を表します。
 %e は,自然対数の底を表します。
 %i は,虚数単位を表します。

5.はじめから定義されている演算関数

関数内容備考
sqrt( )平方根float( ) を使わないと,ルート記号のまま結果が出ます。
cabs( )絶対値複素数でも可。cabs ( 3 + 4 * %i ) = 5
exp( )指数関数exp ( 1 ) = %e
log( )対数関数自然対数を与える。常用対数を得る場合は,log(10.0)で割る。
sin( )三角関数他に,sec( ), csc( ), cot( )もある。
cos( )
tan( )
asin( )逆三角関数他に,asec( ), acsc( ), acot( )もある。
acos( )
atan( )

6.変数

 変数名:変数の内容;

 のように指定します。たとえば,x に 5 を代入したかったら,

 とします。このあと,y という変数を,x の2乗を表すことに定義すると,当然 y は 25 になります。

 ただし,今まで出てきていない変数を使っていたら,その変数のままになります。

 変数の指定を解除したい場合は,kill(変数名,変数名,…) を利用します。

7.関数を定義する

 関数は,

 関数名 ( 変数名,変数名,… ) :=式;

 のように定義します。たとえば,

 のように定義すると,

 のように計算されます。

8.平面グラフ

 たとえば x2 のグラフを,-2≦ x ≦ 2 の範囲で描画するときは,

 のように,

 plot2d(式,[定義変数名,開始値,終了値]);

 とします。

 のように,値域も指定することができます。

 [ ] で式を複数指定すると,複数のグラフを描画してくれます。

 また,媒介変数(パラメータ)を介してグラフを描くこともできます。
 たとえば,x=f(t), y=g(t) 型の関数のグラフならば,

 plot2d([parametric, x(t),y(t)], [t, 開始値,終了値]);

 となります。

 x^2/4 + y^2/9 = 1

 という楕円ならば,媒介変数を用いて,

 x = 2 * cos(t), y = 3 * sin(t)

 という式に表すことができますから,

 とします。

 グラフが粗いときは,分割数を増やすために,

[nticks, 100]

 という分割数を増やすオプションをつけます。

9.三次元グラフ

 三次元のグラフは,たとえば z=g(x, y)という関数ならば,

 plot3d(g(x, y),[x, 開始値,終了値], [y,開始値,終了値]);

 となります。

 z=sin(x) * sin(y) というグラフならば,

 などとします。

 描画図形上では,マウスは十字形になります。適当な場所でドラッグすると,いろいろな方向からグラフを見ることができます。

10.式の展開・因数分解

 式の展開は,expand 関数を使います。

 展開した式の,特定の項の係数を知りたかったら,ratcoef 関数を使います。

 分数式を通分して計算させるときは,ratsimp 関数を使います。

 分数の分子のみ求めるときは num 関数を,分母のみ求めるときは denom 関数を使います。

 因数分解するときは,factor 関数を使います。

 factor 関数の引数を数にすると,素因数分解をします。

11.方程式

 方程式を解くときは,solve (方程式,解かせる変数); とします。

 もちろん複素数解を求めることもできます。

 float( ) 関数を使えば,近似値を求めることができます。

 連立方程式を解くときは,solve ( [式,式,…], [解かせる変数,解かせる変数,…] ); とします。

12.極限・微分

 極限を求めるときは,limit (関数,変数,近づける値); とします。

 無限大に近づけるときは inf, 負の無限大のときは minf を使います。

 右から極限値に近づけるときは plus オプションを,左からのときは minus オプションを使います。

 微分は,diff (関数,変数); とします。

 2回微分の場合は,diff (関数,変数,2); とします。

13.級数・積分

 f(k) の,k = 1 から k = n までの和は,nusum ( f(k), k, 1, n) とします。

 記号を使わない,f(k) の,k = 1 から k = 100 までの和などのときは,sum ( f(k), k, 1, 100) とします。

 f(k) の,k = 1 から k = 100 までの積などのときは,product ( f(k), k, 1, 100) とします。

 不定積分は,integrate ( 関数,変数) です。

 定積分は,integrate ( 関数,変数,開始値,終了値) です。