四谷大塚進学教室主催のテスト会です。通常の塾に通っていて業者のテストをプラスするという感覚です。一般に塾向けのテスト業者のテストでは、母集団が少ないために判定が正確に出しにくいという弱点があります。YTネットは、歴史がある四谷大塚主催ですから、その点が解消されています。また、定評あるテキスト類とセットで提供されていることも大きな特徴です。メイン教材「予習シリーズ」は、中学受験のバイブル的存在です。
他の進学教室では、「平日授業+日曜(土曜)テスト」がセットとなっています。そこから疑問に思う方が、いるかもしれませんが、歴史的にはYTのパターンが本流です。
これについては、タイトルが少々オーバーですが「進学教室の歴史」をお読み下さい。
1,学力を知る
毎週の学習の成果を知ることができます。一週ごとの学習範囲の達成度が客観的に把握できるということです。模擬試験は、大規模な集団の中で行われますので、さらに位置づけがわかり、そこから志望校合格の可能性を知ることができます。
2,学習の励みとなる
小学生には、毎週学習する意義がわかりにくい場合があります。そのときに、毎週区切りとしてテストがあると、短期的な目的(目標)として機能します。また、学習した以上これを試したいと思うお子さんがいらっしゃるのは当然です。競争心が旺盛なお子さんは、順位を競うという学習目的が生まれます。
どの程度学習すれば、どれくらいの成績がとれるかということがわかれば、自己管理の助けともなります。
3,試験慣れする
出題形式という点では異論があるのは事実ですが、とにかく「学習」と「試験での得点」が一致しないケースは、小学生ではよくあることです。これを解消するには試験形式の学習をする以外にありません。
学習している段階ではわかったつもりでも、いざテストとなると得点できないケースです。これについては、別途説明する機会があると思います。
1.結果を必要以上に気にする
どうしても試験結果が気になるものです。それを(過度に)追いもとめるとお子さまをつぶす(学習意欲減退)危険性を伴います。受験ですから、親子に緊張関係があるのは当然ですが、親子関係が(程度が凄いことを表す修飾語がはいる)悪化するなどです。
また、点数をとることのみに学習がかたより、学習の本質からはずれることもままあります。
その場合は、「毎週の単元回の成績はよいが、総合回になると成績ががくんとおちる」「5年生での成績は良かったが、身についていなくて6年生になると急降下する」などとなることがあります。ことの本質理解からテストのための学習と変質してしまうからです。
2.あきらめにつながる
生徒によっては、励みとなるはずがまったく逆の結果となることがあります。自分の実力を知ることは良いことですが、100%実力を出し切らないうちに「自分はこの程度」と満足しあるいは自信喪失し、向上心を失う生徒がいます。YTなどテスト会のテストがどうしてもお子さまを「序列化」する性質をもっているため、その試練に耐えられない場合は諦念という形で出てきます。当然本人の性格などにも関係があるでしょう。
本人が気力減退となる場合もありますが、保護者の方が「この子はこの程度」とさじを投げることもあります。後者は、問題があるといえます。
1.志望校から考える
難易度が高い学校を志望している生徒の場合は、早めに開始するのが通例です。一般的に、向上心が高く競争心も旺盛なことが多いからです。
2.性格から考える
前述のように、成績が悪いときに内にこもって悩んでしまうタイプは、遅いスタートの方がよいかもしれません。意欲を早い段階からなくしてしまうことは、持っている可能性を発揮しないこととなりかねません。
1.で「競争心も旺盛」と書きましたが、逆説的に「競争心がない」タイプの場合も、競争心を生じさせるために早めに利用する方がよいでしょう。ただその場合は、「やらせていても張りあいがない」と親が思うときがあるでしょう。だが、そこでやめない方がよいです。継続は力なりと昔から言われているように、すぐには形にならなくとも、続けることによって体得することがあります。
飽きやすく、なんでも長続きしない(というとすごく悪い表現なので)短距離走タイプの場合。小五の後半あるいは、新小六からのスタートがよいかもしれません。
3.まわりの影響
ストレスがない、競争がないなどという環境は、人間の発達にはあり得ない環境ですし、逆によくないのですが、それも程度次第です。
例えば、兄弟で学力に差が大きくあり、かつ競争があり言い合いなどが多い場合。親子関係もさることながら、兄弟で比較されることもストレスのもとですし、のちの人間関係まで左右しかねません。
兄弟関係など良好なのがよいですが、不幸にしてそうでない場合は考え物です。
また同様に、小学校などでの競争もあります。週報というものがあり、成績優秀者の氏名が掲載されます。それを見てのライバルへの対応などです。
本来は、それらも乗り越えることが望まれますが…。
いつから利用するかは、ケースバイケースといえますが、いずれにせよ入試はペーパーテストを受験するのですからその練習として、テスト会は必須だと言えます。
大正時代に日曜テスト教室が誕生しました。それが、日本進学教室です。当時は、いわゆる町塾の時代です。また、テスト業者もなかったはずです。その集合体としてテストのみを行う組織が誕生したのです。創始者は長谷川弥平氏でした。
略称『日進』で、進学教室という名称も彼が初めて使用したのです。「進学教室=テスト会」だったのです。
各塾の特色ある指導のもとで学習し、小六の一年間に競い合う場です。最盛期には、筑波大駒場(当時教育大駒場)の合格者の95パーセント以上がここの出身者でした。占有といってもよいで状態が長く続いたのです。
次が、四谷大塚進学教室です。変な名前ですが、四谷と大塚にあった塾が始めたテスト会です。ただ、日進のマネをしていたころは、追いつき追い越すことはできませんでした。ここは、会員と準会員という2つにわけ、準会員はテストなしでその時その時の参加ができました。500円をにぎって受験しに行ったという話をいまだに聞きます。
平日の授業もしていました。そのテキストを迫田氏が作成したのが、上昇のきっかけでした。それが「予習シリーズ」です。また、小学五年生からのスタートという中学受験の難化に対応したシステムも忘れるわけにはいきません。それと、合判テスト(模擬テスト)を外部性も受験できることでした。
こうして五年生は四谷、六年からは日進のパターンが徐々に崩れていきました。
一方神奈川県から隣接区部では、日本能率が勢力を伸ばし、分かれて神奈川県は「日能研」となりました。日吉で塾をしていたK氏が、その勢いにおどろきチェーン店として参加しました。日能研が2つあるというのは、このことです。学習指導と営業をシステム化したのが、その勝因でしょう。また、好戦的な体質もです(^_^)
その後タップが日本橋に、分化したのがサピックスです。桐杏学園も、ありました。いや、まだあります。失礼!城北スクール、東に早友、千葉には市進。。。。。
などなど、群雄割拠の状態でした。
さて、中学受験の大手進学教室というと今や、四谷YTと日能研・サピックスとなりますか…。
四谷大塚は、他の進学教室と違い、発生の時からの形態を維持し(人によってはひきずり)準拠塾(後に提携塾も生まれた)、四谷本体と準拠塾との連合体というものでした。それを、バブル期に引き離そうとしたのですが、その画策が四谷大塚の衰退を招いたのでした。準拠塾大手の栄光、学習指導会、早稲田アカデミーなどが背を向け始めたのです。
分教室展開がうまくいかなかった四谷大塚は方針を大きくかえ、YTネットというテスト会として再出発しました。以前は、テスト屋として塾からは蔑視された側面がありましたが、逆にテスト会として教室指導はどちらかというと従という形です。
また他に進学教室ではありませんが、個人指導が一定の地位を占めるようになってきました。中学受験には、これ(個人・個別指導)だけでは不十分と思います。これについては、また改めてふれることとします。
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