■間違いが多い問題から、正解への道、学習方法を考えるページです。
(前略)手間は同じで、モウケからいえばセット売りの方がぐんと大きい。とすれば、単品売りはバカらしい。家具屋さんがセット化するのは結局のところ、7そういう発想にもとづいている。(後略)
問 線7「そういう発想」とは何ですか。次の[ ]に指定の字数の文中の言葉をあてはめなさい。
1[ 二字 ]がおなじなら 2[ 三字 ]が 3[ 三字 ]ほうがいいとする発想
YT過去問シリーズ③平成11年
【なぜひっかかるか?】
この文章の前に、単品売り・セット売りの違いがわかるように説明がされています。しかし、それでもいったい何のことか、わかりにくい人もいるでしょう。
さて、本来は、「…そういう発想とはどういう発想ですか。××字以内で文中の言葉を使って書きなさい。」という、指示語の問題です。
「発想」=思いつき、だから直前の文を指している。直前の文は、発想=思いつき=考えが書かれている。「とすれば、単品売りはバカらしい。」ここだ。最も短いと「バカらしい」だ。
また、指示語の問題は直前の文からさがしなさい。と、教わるから、ますますこの文に固着する。
すると、袋小路に入りあてはめられなくなる(らしい)。
大人にとって簡単でも、小学生(中学受験生)にとっては、難しいものなのです。
【読解のパターン】
空欄の前後のことばがヒント!
1のあと「が、おなじなら」とあるので、同一あるいは同類語をさがす。「…同じで…」を発見すると、後は楽。「…2(三字)が3(三字)ほうがいい…」は「○が×のほうがいい」というのだから、モウケが大きい方がいいに決まっている。
さて、ここでもピンとこない生徒がまだいる。えっ、なぜだって?
「モウケ」がカタカナだからです。「モウケ=儲け=利益=自分が得をすること」と、思考過程で結びつかない(らしい)のです。
【解答】
1 手間 2 モウケ 3 大きい
例をあげればきりがない。4そのような言葉の一群を、私たちは主として学校の外でによって覚えた。それらは印刷され、読まれ、教えられる言葉とは全くちがう言葉であり、動作や感情や遊びの場と切りすことができぬからこそ、余計に日々の5現実生活の中で言葉として生きていたと言えるだろう。
入試問題集から
問八 線5「現実生活の中で言葉として生きていた」を次のようにいいかえてみました。[ ]にあてはまるように文中の言葉を使って文章を完成させなさい。ただし、字数は二十字以内で「結びついて」という言葉を必ず使うこと。
言葉が[ ]ということ。
【なぜひっかかる?】
本質的な文章読解ができないこともあるでしょうが、一応わかっていてもひっかかるのは「ぬ」の意味です。完了と否定(打ち消し)がありますが、そのどちらでもないようによんでしまう(らしい)。
助動詞「ない」の識別で、ながく「ぬ」に置き換えられると助動詞で、られないと形容詞と教えていたが、近年は「ぬ」に置き換えられること自体がわからない子が多い。
わからないのは無理もない。打ち消しの「ぬ」は、古い言い方で普段使わない。使っている文章も読まない。
例1 今日は、新聞を読んでいない。
この「ない」を「ぬ」に換えると、「今日は、新聞を読んでいぬ。」となる。「いぬ」?犬? でとまどう(らしい)。
例2 昨日は雨で、散歩しなかった。
この「しなかった」→「しない」は、ことばのきまり(文法)では、よく出てきます。生徒には『しない』が出てきたら、あやしいと注意しろと教えています。選択問題で誤答か正答か、いずれかの確立が高い。正答でなければ、誤答に決まっているって、そういうつっこみはなし。
間違えてしまう確率が高いと言うことです。
「しない」-(「ぬ」に換えると)→「しぬ」 死ぬ? となる(らしい)。
例1は、「いぬ」は、置き換えられる。つまり、この「ない」は助動詞。
例2は、動詞「する」の活用がわかれば、「しぬ」ではなく「せぬ」となることがわかる(といいなぁ)。
「今日は熱で、塾へ行かぬから自宅で寝ているよ。」なんて、いわないよね。「貴殿には、拙者を切れぬ。」ってなかんじですか。
最近は、「助動詞は付属語、形容詞は自立語」「自立語は文節をつくれる(一文節に一自立語)」ということから、「ない」の直前で文節に区切ってみる、という方法を教える。
しかし、これも国語が苦手の生徒には、前提となる「助動詞は付属語、形容詞は自立語」「自立語は文節をつくれる(一文節に一自立語)」が、小難しいと毛嫌いされてしまう(^_^)
【読解のパターン】
結局、「結びついて」を使うのなら、「切り離すことができぬ」を使うな!
「ぬ」が打ち消しとわかり、さらに考えれば、「結びついている=切り離せない(ぬ)」ことに気がつきます。ここがポイント!
両方入れようとすること自体が、間違いです。
【解答】
正解例 動作や感情や遊びの場と結びついている(18字)
誤答例1 動作や感情や遊びの場と結びついていぬ
誤答例2 結びついて切りすことができぬ
誤答例2は、意味は通りますが、何と結びついているかが書かれていない点が致命傷です。また、「結びついている=切り離せない(ぬ)」は、出題者のネライ(意図)というか配慮というか、が表れています。高度の読解力がある生徒は、暗黙のうちに書いてもらいたい解答をそこから、読み取ります(読み取るらしい)。
…直接植物を食べない動物もいますが、彼らは植物を食べた動物を食べます。( 3 )は植物を食べた毛虫を食べ、小鳥はクモを食べ、( 4 )は小鳥を食べ、( 5 )はヘビをとらえます。クモもヘビもワシも、もとをただせば植物を食べているわけです。
植物が光合成をしたものは、植物の生活に使われるだけでなく、このような「食う食われる」の関係(食物といいます)を通じて、すべての動物の生活をも※まかなっているのです。
入試問題から
問七 ( 3 )( 4 )( 5 )に入る動物名を、それぞれ文中からぬき出しなさい。
【どこでひっかかる?】
知識がじゃまをする。あるいは、出題者の意図が読めない? 問いが読めない。
ある生徒の解答に、4タカ、5マングース、とありマングースはヘビを食べるもんと、主張してなかなかゆずらない小六の女子がいた。
「問題には、文中からぬき出し…」とあるだろう、だから駄目なんだよ。といっても、そんなの変、だって食べるもん。であった。
頑固というか、意思が固いというか、マングース対ヘビの対決がしっかりと焼き付けられているようだ。
この問いの場合は、「文中の言葉を…」と、はっきり書かれているので、『問題文の読み飛ばし』だ。しっかり読みなさい、ですませてしまいがちだ。
しかし、それだけでは、4にワシと解答して、×だとは説明しにくいのではないか。
なんでも当てはまりそうだという問いは確かにある。暗黙の前提というやつだ。算数にもあるし、中学受験(勉強)にもある。これは、経験(受験勉強)で体得するものだ。言語化して、いちいち説明してもかえってわかりにくい。
【読解のパターン】
「3は植物を食べた毛虫を食べ、小鳥はクモを食べ、4は小鳥を食べ、5はヘビをとらえます。クモもヘビもワシも、もとをただせば植物を食べているわけです。」
食物連鎖ですから、まさしく順繰りに回っています。空欄の次の文「クモもヘビもワシも、もとをただせば植物を食べているわけです。」の意味がわかるかどうかがキー。
パッと反射的に、「4は小鳥を食べ…」を読んで「うちのパパは焼き鳥が好き…」などと、想像たくましくしたら、5でヘビとマングースの対決となってしまうのではないかな。
【解答】
3小鳥 4ヘビ 5ワシ
フォードTという自動車がフォード会社で大量生産され、アメリカで普及しました。その頃、アメリカで「 A 」という冗談がはやりました。スピードはフォードTのほうがはるかに遅いのですけれども、どうして追い抜くことができないかというと、フォードTを抜くと前にフォードTが走っている、というんです。それを抜くと、また走っているというのです。抜いても抜いても前にフォードTがあるという意味で「 A 」という冗談がはやったのです。それくらいフォードTが普及し、世界の自動車のトップに立ったのです。
城北中学校の入試問題
問二 A には、どのような文が入ると考えられますか。「どんなスポーツカーも」という書き出しで三十字以内で答えなさい。
【どこでひっかかる?】
子どもは、駄洒落のたぐいがすきだ。よく、空きカンの上にあるみかん…、ふとんがふっとんだ、マイケルジョーダンの冗談はまあいけるじょうだん、などを聞かされる。あわせて、笑う気にもならない。だって、流行廃りはあれど何度も何度も聞かされると、感覚が麻痺する。
ふくおかでふくをかおう、きょうかいに行くのは今日かい?、など新作が出てくると、おおっと感心する。
また、自分が子どもの頃言っていたのと同じ駄洒落を聞くと、おどろきとともに文化の伝承なんてことを考え…、るわけないが懐かしく思うのは間違いない。
さて、わからない子は、空欄の続き「…どうして追い抜くことができないかというと、…(中略)…があるという意味で…」から、その場面を想像できないのだ(ろう)。
自分の家の車は、ベンツだ。ある日父の運転でドライブしていると、前に国産のミニカーAが走っている。追い抜くとさらに、べつの色のAが走っていた。じゃまだな、とか感じつつ、追い抜くとまた、今度は赤いAが走っていた。売れてる車なんだな。
てな、情景がチラッとでも想像できればなんてことはない(はず)。
想像できれば、冗談としておもしろいと感じるかどうかは別として解答はできる(はずだ)。これが、なんでですか、前を走っている車は追い抜いたのとは別の車でしょ、それなのに何で追い抜けないことになるのですか?と、聞かれると返答に窮する。
実は、真顔で聞かれたことがあるのです(~_~メ)
【解答】
例 どんなスポーツカーもけっしてフォードTをぬくことはできない。(30字)
「…という書き出しで…」という指示ですから、解答に含みます。
幼少のときから、ことば遊びのたぐいでこの種の感性を磨きたいものです。
ただいま満一歳のまどかは絵本に夢中である。終日、母親の私を追いまわして離れないのは本を読んでもらうためで、ありったけの絵本を胸にかかえてあぶなっかしい足つきでを行進してきたりすると、もうするほかない。それらの本を読んできかせるのが、いまは毎日のお勤めとなっている。
…( 中略 )…
ことばをおぼえることは、精神が事物を支配してを形成することでもある。精神が、といったけれども、(2)このたよりなげな存在がすでに精神をもっていることは確実で、じつはそれは、(3)ことばをおぼえることによって形成されるのである。
入試問題から
問二 線部(2)の「このたよりなげな存在」とは具体的にいって何をさしていますか。
問三 線部(3)の「ことばをおぼえることによって形成される」ものは何ですか。文中の語を抜き出して答えなさい。
【なぜわからないのか?】
問二 (2)は「この」という指示語で始まっている。学習している生徒は、直前の文からさがす。「ことばをおぼえることは、精神が事物を支配してを形成することでもある。」読者の方は、もうお分かりでしょうがこの中に指されている言葉はない。…(中略)…には、いくつかの文があった。それを飛び越えて、さがすのは長文になれていない生徒にとっては、きついのだ。
しかも、直前の文には、精神・事物・支配・秩序・形成と漢語が登場してくる。小学生は一般に説明的文章が苦手だ。説明的文章のほうがわかりやすいという受験生は、読解のレベルが高いか、漢語にアレルギーを持たない子だ。説明的文章には、漢語が多い。
直前の文に、といってさがすと混乱するようだ。話そのもの、本質理解があれば、簡単なのだが…。
問三 やや長い文の文末といってもよい部分に下線がある。文を読み直して、「…いることは確実で、じつはそれは、…(中略)…形成されるのである。」 問いは、「…されるものは何ですか。」だから、『それ』を聞いているとわかる(といいな)。
つまり、述語の部分(述語限定ではなく広く「述語を含む部分」ととらえて下さい)に下線を引いて、何がときけば主語を聞いているのだ。
文が長くて、かつ複文だから文の構造が読み取りにくいが、(3)の直前「…じつはそれは、…」から、読めば見当がつくものだ。
ところが、このような主語を答えさせる問題、省略された述語を聞く問題、など意外と手間取ることが多い。
文と文との関係、文の構成要素相互の関係が読み取れていないことが原因だろう。一文を読むことだけで精一杯なのかもしれない。
【解答】
問二 満一歳のまどか
問三 精神
…自分から頭を下げるのがはずかしかったからだ。…
問い 傍線「いかりも何もさめてしまった。ぼくは、後悔した。」それでも「ぼく」があやまらなかったのはなぜですか。その理由を20字以内でさがし、ぬきだして答えなさい。
YTネットテキスト 四年上 第9回
【誤答例との比較】
字数制限がなければ、一文すべて書いて大楽勝なのだが、そうはいかない。模範解答は「自分から頭を下げるのがはずかしかったから(20字)」であり、誤答は「頭を下げるのがはずかしかったからだ。(18字)」である。キーは「自分から」の有無となる。
この一語があるかないかで意味合いが違ってくる。高学年でもそんなことは、意識せずに、「だ。」を書かずに単純に「から」で終わらせるかもしれない。それはそれでいいのだ、(言語化されない)なんとなくでも「自分から」の一語を入れる、それが大切な感覚なのだ。
四年生は、なぜか文末の「だ。」まで書きたがる。「だ。」と断定で言い切られないと、不安なのかもしれない。
記述の解答方法で「理由を聞いているから、『~から。』とまとめる」を、徹底すると○○の一つ覚えとなり、なんでもかでも「~から。」で終わらせる。しかし、前記の例に出した問題では、間違えなくなる。いいのか、悪いのか(--;)
そればかりではない。今では、髪の毛ほどの細いガラスの糸を作り、それを通信に使うことまで開発されてきている。これまでの電気を使った通信に代わって、糸の中に光を走らせて通信をするのである。この方法だと、電線よりずっと細く軽いガラスの糸によって、はるかに速く、多くの通信ができる。
YTネットテキスト 四年上 第?回
問い 段落の要点がまとめられている文のはじめの五字をぬき出して答えなさい。
【指導事例から】
四年生の授業開始時点では、正確にはまだ3年生(通常進学塾では2月開始)。それもあるのだろうけれど、基本的な用語を理解周知させるまでに例年時間がかかる。
そのため、解答方法を理解する(させる)のにも時間がかかるのだが、「文」という概念が以前より希薄で、文の初めと終わり、文のはじめの××字を書きなさい、といった指定では、わかるまでに時間がかかる生徒が、明らかに増えたようだ。
普段文を書いていないせいだろうか。
「この形式段落には、ぶんはいくつある?」
「?」
「文だよ、文。どんなかたまりだった?」
「まる(句点)からまる(句点)まで。」
「そのとおり。じゃ、まるはいくつある?」
「え~と、(時間がかかるも)4つ。」
「では、可能性は4か所だね。」
まず、これがわからない(らしい)。もう一度、問いを読んでやっと理解する。
「では、答えとなりそうなところを順に言ってごらん。」
「『そればかり』、『今では、髪』…」と言えると、わぁっとうれしくなるのだが、せっかくまるのとこに印を付けさせても、いざとなるといえなくなる子が出てくる。答案には、途中から書いて来る子がいる。
文の途中から書いて×の子に、「文のはじめは?」と、なんどか問い返してやっと理解してもらえる。まさに身につくのだ。一度身につくと、もう間違えない。
生徒には、夏の蚊のようにブンブンとうるさがられていたのかもしれない(^_^)
動物園の象が催眠術で、人間だと思いこんだという、星新一「服を着た象」から。入試問題でもあるし、YTネットのテスト及びテキストにも使われています。
鼻でノックをした。出てきた主人はきもをつぶした。「これはまた、なんとしたことだ。」
「じつは、裸で外を歩くのがみっともないので、洋服がほしいのです。」
ゾウが言葉をしゃべるのを聞き、主人はまた驚いた。なにかの冗談かと思ったのだが、さわってみるとぬいぐるみなどではなく、本物のゾウだ。しかも、意外におとなしい。
ひと安心し、驚きがおさまった主人は考えた。これはいい宣伝になるかもしれない。ていねいに対応することにしよう。
問い 線「なにかの冗談かと思った」とありますが、洋服店の主人は、具体的にはどういう冗談だと思ったのですか。三十字程度で答えなさい。
【実際に学習すると…】
小学五年生の授業です。実際に書かせて解答を見ると、あきらかに、問題の作り替えというか勘違いの生徒が出てきた。
誤答例 象がしゃべり、さわってみるとめいぐるみなどではなく、本物のゾウだったから。
この種の間違いが多かった。では、どういう考え違いをしたのだろうか。
誤答から類推すると、「問い なぜ冗談だと思ったのですか。」と、読み取ったらしい。だが、だとしてもぬいぐるみではなく、本物だったら冗談なのだろうか? 疑問が残る。
しかし、問いをよく読みなさい、なぜではなく、どういう冗談かと、冗談の内容を聞いてるよ。と言ってもう一度直させても、なかなか直りにくいものだ。
次に、「なぜ驚いたのですか?」と勘違いしたとしても、誤答例では正解ではない。「ゾウが突然現れ、言葉をしゃべったから。」が、この場合の正解だ。
ドアをあけるとゾウがいた。びっくりの1
ゾウがしゃべった。びっくりの2 本文「…聞き、主人はまた驚いた。」から判断。
冗談だと思った。ぬいぐるみだと思い、さわってみる。本物だった。おとなしいので、安心して、考えた
このように、文章の順にしたがって順次読み取っていくということは、小学生ではまず考えもしない。説明すると、「へぇ~」という顔をする。だが、実際に問題を解くときになると忘れているのだろう(`´メ)
記憶に少しでも残っていて、実際につかえると格段の進歩であるのはいうまでもない。
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